酸素カプセルを理解するための基礎知識 ~酸素分圧~

 - by kiyoshi

ボイルの法則とがダルトンの法則

地球上の大気圏内という一つの空間の中では、酸素の割合は20.9%均一です。しかし、大気圏内には重力が働き、気体に重さ(圧力)が掛かります。当然、地上に近い程重く、上空に向かう程軽くなります。ボイルの法則は、この重さを圧力に変えて圧力が高い程、体積が小さくなり気体の密度が高くなることを示しています。「高地の酸素は薄い」というのはこのボイルの法則を使って説明することができます。

空気というのは主に酸素と窒素の混合気体で構成されています。この混合気体の割合に従いそれぞれの気体毎の圧力の関係を示しているのがダルトン(Dalton)の法則です。この気体毎の圧力を分圧といいます。酸素の分圧を酸素分圧。窒素の分圧は窒素分圧です。大気圏内の酸素は20.9%、窒素は78.1%と一定なので大気圧さえ分かれば上表の通り酸素分圧と窒素分圧を算出することができる訳です。

大気圏内での酸素分圧の算出

これらの法則を使って酸素分圧の算出例を下図に示します。

気圧の単位は、「Torr」「atm」「hPa」「psi」「bar」などありますが、ここでは血圧でお馴染みの「mmHg」で統一します。字の如く水銀を何mm押し上げる力があるかを示す事になります。

酸素分圧の算出

酸素濃度[%] 窒素濃度[%] 気圧[mmHg] 酸素分圧[mmHg] 窒素分圧[mmHg]
100 0 1,520 1,520 0 医療用高圧(2ATM,100%酸素濃度)
450
(新生児は300)
長時間吸入しても安全とされる酸素分圧の上限値*
35 64 836 293 535 高濃度酸素カプセル(1.1ATM,35%酸素濃度)
20.9 78.1 988 206 772 高圧酸素カプセル(1.3ATM)
20.9 78.1 760 159 594 平地
20.9 78.1 700 146 547 低気圧(950hPa)
20.9 78.1 600 125 469 飛行中の機内
20.9 78.1 595 124 465 標高2,000[m]
20.9 78.1 462 97 361 標高4,000[m]
20.9 78.1 267 56 209 標高8,000[m]

*参考文献 オックスフォード生理学(Human Physiology. The basis of Medicine Second Edition by Gillian Pocock & Christopher D.Richards in 2004.)

酸素カプセルが人体に与える影響はこの酸素分圧のみ

酸素カプセルに入って人体に与える影響はこの「酸素分圧」が全てです。外気の酸素分圧が上昇したことによって、呼吸によって肺胞内の酸素分圧も自動的に上昇し、血液に溶け込む酸素量も自動的に上昇する仕組みになっています。

  • 新生児の場合、安全利用のための酸素分圧値が低いこと

これで新生児や妊婦さんに酸素カプセルの利用を控えて頂いているのはこのためです。

  • 高濃度酸素カプセルの場合、窒素分圧はほとんど増えないこと

窒素分圧は減圧症の一因と言われていますから、その心配が全くないことをここで読取れます。


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